「それにしても、空我から電話が掛かってくることなんて二度とないと思っていたのに、その当の電話の内容が“親友を助けてくれ”なんてね。
 何だか、少し安心したわ」






 母さんは話題を逸らして、
俺に和やかな笑顔を向けた。




 え?



 もしかして、母さんは本当は
俺のことを心配してくれてんのかな……








「これで、あの人に空我の様子を聞かれても心置き無く話せるわね。良かったわ」










「あぁ、そうかよ……」






 目を背けて、俺は零れそうな涙を堪えてそう言葉を紡いだ。







 ——笑える。







 何度も思い知った癖に、またほんの少しでも期待してしまった自分が馬鹿みたいだ。