「ハッカー様御一行、総長がお呼びで
……し、失礼しやしたぁ!!」


「「…………」」


 第一幹部室に、龍弥の慌てふためいた声が
響いた。




 龍弥が部屋に入ってからすぐに俺達が抱き合ってたのに気づいて、頬を赤くして立ち去ったのだ。


全く、このウブめ。


「はぁ……」


 俺はどこか名残惜しかったのか、無意識の内に口からため息を吐いて、恵美から離れた。



「えっとま、なんだ。……恵美、ありがとな」


 俺は赤髪を片手で掻き毟って、視線を床に逸らしながら言い放った。


 自分から恵美に抱きついたのは、ひょっとすると初めてかもしれない。


そう思った途端、体が微かに熱を帯びた。




「いーよ?
 なんなら、
まだまだ甘えたっていいんだからね?」



恵美は、さぞ得意げな様子で言い放った。



 その小悪魔っぽい顔がやたら可愛く思えて、
俺は逃げるように体をドアへ向けた。