「「んっ……」」




 午後六時半前。ベランダにいると、余計に朝焼けの光が眩しかった。





 俺達は二人同時に片手で顔を隠して、眩しそうに顔をしかめた。



「ハハ!!」




 二人とも同じことをしてるその光景がどうも可笑しくて、つい笑わずにはいられなかった。




 ——声は、やっぱり出なかった。潤の笑い声しか、空には響かなかった。



俺にはもう、笑い声なんて出せない。



せっかく感情表現はできるようになったのに、俺は、泣いたり悲しんだりする時に無意識的に出るハズの嗚咽と、悲鳴のような泣き声。……それに、笑い声を出すことは出来なかった。




 声を上げることができない。
きっと俺は、二度と本当の意味で泣くことも笑うことも、怒ることも、照れることも出来やしない。


 ……そうなる前にこいつらに会えてたら良かったな。



「めぐんとこ、
戻んなくて平気なのか?」





 潤が口から煙を吐いて、乱暴に言い放った。



「ん?
あぁ恵美は、……純恋と話してっから」