「……あいつが心の底から笑ってんの、 久しぶりに見たわ」 煙草をふかした潤は第一声、 そう口にした。 「あぁ、そうだな。 最近、泣いてばっかだったしな」 俺はあづを見やった。 ——胴上げされて、大笑い。 俺達が目の当たりにしてからまだ1時間ほどしか経っていないその顔は、一体どれだけ久しぶりに見る表情だったのか。 当の本人はそれを知らず、 いまだすやすやと寝息を立てて眠っている。