「静まれ!!」



 俺は未だ騒ぐ下っ端達と、
めぐや奈々を制裁するように大声を出した。



「最後に、
虹蘭に姫を迎え入れる」



「姫!!」



「キター!!」



「あの子だよね?」




 気遣ってるのか、小声で騒ぐ下っ端達。




「こいつは菜畑純恋だ!

 テメェら、この女を死ぬ気で守れ!!!」



 俺は片手で純恋を立ち上がらせ、
あらん限りの声で宣言した。



「「「オー!!」」」



 下っ端も幹部に就任となった奴らも、
全員声を上げて賛同していた。


 ——気持ち良かった。


たとえそれが、表向きのものだとしても。


「純恋、なんか一言」


「よ、よろしくお願いします!!」


 純恋は、さぞかし深いお辞儀をした。


硬いよなぁ……ま、そこが好きなんだけど。



「話は以上だ。
なお、抜けたい人は今すぐ抜け……」



 最後の言葉は、声にならなかった。


 ——そう。

 きっとこんなの全部偽りだ。


 ここはきっと、人々が群がってストレスを発散するための一つの手段みたいなもので……。


団結力も何も、ちっともなくて、



……俺は、いとも容易く裏切られる。



「組長!
全くもう、そんな人いませんよ!!」