脳内に直接響くように聞こえてくるのは、昔の自分からの俺を諭すような冷徹な声と、小学生の時、トイレに俺を閉じ込めた後、母親が必ず言った言葉。


 大人はみんな家に入れてもらえなくて、家の前で泣いてる俺を無視して、見捨てた。

 母親は、泣いていた俺にひどいことしか言わなかった。


 それなのに。俺に生きる価値なんかないハズなのに。それなのに、なんでこいつは……。

「なぁあづ、俺はお前が好きだよ。親友だと思ってる。……たとえお前に何を言われてもな」



 潤からその言葉を聞いた途端、
両目から涙がボタボタと流れ出した。



 あぁ、嬉しい時にも涙って出るんだっけ……。



 まさか自分が嬉し涙を流す日が来るなんて、
思いもしなかった。




 「……っ!」