「……やっと本音言った」



 ——え?


 こいつ、何言ってんだ…?



「は?」

「お前、今日ずっと様子おかしかっただろ。俺も奈々も恵美も、すげー心配したんだぞ。相談くらいしろよ。俺ら、いつもただ喧嘩するためだけに一緒にいるわけじゃないんだからさ」


 潤は、俺が予想もしなかった言葉を立て続けに言いう。


「……そう、じゃないのか?」


「そうだよ。お前は、それだけだと思ってた?」


「俺は……」

 
 ——そう思ってないなんて、言えるわけがない。


 俺は親友なんていらない。作れない。

 作ったらいつか必ず、虐待のことを話したくなってしまうから。そう思って、ずっと軽い付き合いばっかしてきた。


 小中学校では、虐待でできた傷を理由に体育がある日は学校を休むよう言われてたから、親友みたいになれる友達なんてろくにできなかった。


 できたとしても、夕食の話で不審がられたら、その関係は即終わりだった。

 それに、もし傷を誰かに見られたりとか、なんらかのことがあって虐待がバレたら、母親に殺される羽目になるから。それで俺は決めたんだ、親友なんて作らないって。

 絶対、作っちゃいけないって。


「ハハ、そんなに考え込むなよ。
 少なくとも俺は、お前を親友だと思ってたんだけど?」