「ふざけんなっ!!!」


 直後、怒りを現したような声が聞こえたのと同時に、俺の左頬から、血が流れた。



 奈々をおしのけて俺の前にきた潤が、俺の頬を殴ったのだ。



「今更、捨てろとか言ってんじゃねーよ! あんなこと聞いて捨てられるほど、俺らは腐ってねぇよっ!!!」




「でもおまえ、逃げたじゃん」



 力の抜けた声で、俺は言う。