*Kissよりギュッと*

好きすぎたら……?

龍のその言葉が嬉しすぎたから、私はギュッと抱きついた。

男の子らしい龍の腕は温かくてそれから優しい。

「計算しないでいいよ。私は……ありのままの龍が大好きだから」


゚*.。.*゚*.。.*゚

夕暮れが迫り、私は駅までの道のりをゆっくりと歩いた。

そう。大好きな龍と。

「今日は本当にありがとう。楽しかったし凄く美味しかった」

「そっか」

ジーンズに両手を突っ込んだまま、龍は少し笑った。

そんな何気ない仕草も何故か龍ならサマになる。

ああ。

落ちていく太陽が悲しい。

だってもっと一緒にいたいんだもの。

……でも、帰らなきゃ。

繋いでいた指を、本当は離したくない指を、どちらからともなく私達はゆっくりと解いた。

「ここでもう大丈夫。じゃあ……ね」

「ん」

背中を向けて一歩、また一歩と駅の入口へと歩を進める。

また会える。

またすぐ会えるのに、いま別れたばかりなのに、もう会いたい。凄く会いたい。