*Kissよりギュッと*

「で、あんな嫌味を言ったのかよ」

ギクッ。


『でもあんな言われ方してヨリを戻せるなんて、ちょっと引くけど』


……確かに言った……嫌味。

思わず狼狽える私を、龍がシラケた顔で見下ろす。

「傷付いたんだぞ、俺は」

……それはその……確かに私が悪かった。

「……ごめん……」

床に座ったままペコリと頭を下げると、龍は至近距離から私を見つめて言い放った。

「ダメだ。謝るだけなんてサルでも出来る」

「…そんな事言われても……じゃあどうすれば」

そう言いかけた私に、龍がニヤリと笑った。

「じゃあ、これで許す」

言い終えるや否や、ベッドに腰かけた龍がゆっくりと私の方に身を乗り出す。

その時だった。

「あーっ!!思い出したっ」

「なんだよっ」

急に叫んだ私に、龍が眉を寄せる。

いくら私が鈍いとしたって、今の流れがイイ雰囲気だったのは分かる。

だけど、だけどね、私だって思い出したんだもの、龍の超絶意地悪。

これは私、泣いたんだから。

「ったく……早く言え」

キスを拒んだのを責めるかのように龍の瞳が不満げに瞬く。