*Kissよりギュッと*

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「ああ、美味しかった!龍、今日は呼んでくれてありがとう」

「……」

龍は私に背を向けたまま、なにも言わずにジーンズのポケットから財布や鍵を取り出して机の上に置いている。

そんな龍から視線を移して部屋を見渡すと、あるものが眼に飛び込む。

私には全然分からないけど……有名選手のバスケのユニフォームが額にいれて飾られていた。

しかもサイン入りだ。

龍の好きな選手なんだろうなぁ。

テーブルもクローゼットも濃いブラウンで統一されていて、スッキリしているし、なんかお洒落。

「座れば」

「……うん。部屋……綺麗にしてるんだね」

ヤバい。私の部屋のが散らかってる。

「片付けたに決まってるだろ。普段はもっと散らかってる」

龍はそう言いながら、大きなベッドに腰を下ろした。

……それって……私を部屋に呼ぶため?

その時、急にセンパイ彼女……水沢さんがお店から出てきた事を思い出した。

……水沢さんもこの部屋に来たのかな。

そんなことを考えた自分が嫌で、思わず頭を振る。

やだ私ったら。そうだとしてもそんなのもう過去だし、考えても仕方な……

「先輩は部屋に入れてない」

心を読まれたようにタイミングが良かったから、私は驚いて顔をあげた。

「分かりやすいんだよ、お前は」