ースキダヨー


形のよい唇から発せられたその言葉に、またしても私の胸がきゅん、とする。

それと同時に周りの喧騒がすべて聞こえなくなって、龍の声だけが耳に届いた。

「俺、お前が好きだ」

龍が……私を好き。

「お前は?俺のこと嫌?」

「そんなわけないじゃんっ」

ブンブンと頭を振った私を見て、ふたたび龍が笑った。

それから私を引き寄せると、フワリと両腕の中に囲う。

うわぁ……。

「あ、の龍、誰かが来たら見られちゃうしその、」

「じゃこれでいっしょ」

「きゃ」

両脇に手を差し込むと、龍が私を抱き上げた。

「ちょ、龍っ……」

「うるせ」

私を甘く睨むと、龍はそのまま数歩先にあるプラタナスまで移動して、再び私を抱き締める。

「これで見えない」

「見えにくいだけで見えるよっ」

「じゃあさっさと言えよ」

そこで一旦言葉を切ると、龍は男らしい顔を傾けて至近距離からニヤリと笑った。

「早く言え。俺に惚れてるって」

「っ……!」

カアッと一気に顔が熱くなり、私は龍を見ていられなくなって俯いた。

「こっち向けって」

向けるわけ、ない。

絶対に顔だって真っ赤だし、恥ずかしいもの。

なのに龍は諦めない。

「なあ、惚れてる?」