「センパイ彼女のいる龍には、私の気持ちなんか分かんないよっ」

そう。

龍には三年生の先輩彼女がいる。

龍と同じでバスケ部の背の高い綺麗な人。

夏が過ぎれば引退だけど、一応まだバスケ部だ。

たまに一緒に帰っているのを見かけるから、今も続いてるんだと思う。

私が言い終えて睨むと、龍は両手をズボンのポケットに突っ込んで小さく、

「関係ねーだろ」

「龍だって手伝ってくれないって言ったじゃん!じゃあ関係ないじゃん!」

「……」

龍が黙り込んだ隙に、私は思いきりダッシュして教室のある四階に降りた。

……今のこの嫌な気持ちが顔に出てたら……やだ。

トイレによって、ついでに鏡を見よう。

だけどこの選択が最悪だったんだ。


゚*.。.*゚*.。.*゚

「私ならもう諦めるけどね。だって明日斗、超冷たいじゃん?」

「あー、美夜はほら、良く言えば超ポジティブシンキングじゃん?ハッキリフラれなきゃ分かんないタイプなんだよ」

トイレの個室に入った時、何人かの足音が聞こえてきた。

それと、少し声を潜めた話し声も。

……亜美だ。それに由依。

「悪く言えば鈍いよね。それに……自分大好きって感じでさ、ちょっとウザい」

嘘……これは……理沙だ。