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アホな女だとばかり思ってたのに……俺はいつからコイツに惹かれていたんだろう。

……コイツが明日斗と付き合い始めた頃?

いや。確かに見た目は可愛いと思っていたけど好きだった訳じゃない。

第一、親友の彼女を好きになるほど分別がつかなくはない。

きっと徐々にだ、コイツが気になり始めたのは。

よく覚えてる。

唇を噛み締めたあと、まるで自分自身に言い聞かせるようにこう言ったアイツを。


『私、諦めない。龍からしたらシツコイだろうね。でも、私頑張りが足りなかったと思うんだ。焦っちゃって……明日斗に自分の気持ちばっか押し付けてた。だからもう一回、あと一回だけ頑張ってみる』


……完全に時間と体力と愛情の無駄遣いだ。

けど……どうしてだか、眩しい。

俺は……誰かにこんな風に一途になれるんだろうか。

俺の父親は母を捨てた浮気者だ。

そんな人間の血が流れていると思うと、誰かを一途に想える自信がない。

そんな俺にはないものを、美夜は持っているのかもしれない。

俺には年上の彼女がいた。水沢奈央。バスケ部の先輩だ。

ちょうど明日斗と美夜が付き合い始めた頃、俺は先輩に告白された。

先輩は爽やかな美人で、優等生タイプだ。

告白された時は戸惑ったけど正直嬉しかった。

付き合っていくうちに先輩を好きになるだろうと思ったんだ。