「……」

「…理沙……?」

「……あ、ごめん、なんでもない。っていうかさ、美夜。……美夜は……龍が真剣に好きなのね?」

「……うん。明日斗とダメになって日が浅いって思われるかもだけど、本当に好きなの」

理沙が言い終わった瞬間、私のスクバから着信音が流れた。

「龍かもよ?見たら?」

怖いような、でもどこか微かに期待する自分がいる。

「……うん」

取り出したスマホを恐る恐るタップすと、私は画面を覗き込んだ。

あ……。

「どう?龍?」

違う、龍じゃない……。

「……石井くんだった」

「石井くん?何の用?」

理沙が身を乗り出して画面の文字に視線を落とす。

「この間、ビュッフェで私、ハンカチ忘れてたみたいなの。で、それを今日の放課後学校の正門で渡したいから待っててもいいかなって」

理沙が再び考え込んだ。

けれど今度は勢いよくこっちに向き直ると、私の二の腕を掴んでハッキリした口調で言った。

「断らないで今日、ちゃんと返してもらって。何時にする?三時四十五分には石井くんも来れるんじゃない?」

え……?

急にどうしたんだろう、理沙。

「理沙?どうしたの?」

すると理沙は当たり前だと言わんばかりに私を見た。