『大丈夫だから……な?』

『明日斗、悪い。けどもうコイツは渡せない』


私を守ってくれる龍が頼もしくてカッコよくて、思わず胸がキュンとしたっけ。

その時だった。

「美夜ー、やっぱりここにいたんだね。さっき龍に聞いたら教室と逆の階段の方に走ってったって言うからさ、心配し……て……きゃあ、美夜?なんで泣いてんの?」

理沙が血相を変えて私に駆け寄る。

「理沙、わ、私…」

「話聞く。大丈夫だよ」


゚*.。.*゚*.。.*゚


明日斗と破局してから、龍と話をするようになったこと。

少しずつだけど、仲良くなっていったこと。

ダイエットをしていた私を心配して、龍がお弁当を分けてくれていた事。

明日斗から私を守ってくれた事。

龍がセンパイ彼女とヨリを戻した事。

いつの間にか私は、気付かないうちに龍を好きになっていた事。

理沙に全てを話すと、私はグズグズと鼻をすすった。

「……そっか……」

涙がなかなか止まらない。

予鈴も本鈴もとうに鳴り終えたけど、こんな顔でクラスになんか戻れない。

「ごめん……理沙。授業が」

「今は授業より美夜でしょ」

理沙が優しく笑った。

それから何かを思い出そうとしているのか、空に視線をさ迷わせている。