そう言って、袋一杯のお菓子を俺に手渡してきたからだ。

「もうっ!龍ってば!」

「いてっ!」

さっきまでメガホンだった教科書で、美夜が俺の頭を殴った。

俺は苛立ちに光る美夜の瞳から視線をそらしてポケットに両手を突っ込んだ。

「やだね。明日斗は俺の親友だぞ。亜美(あみ)にでも頼めよ」

「……ダメ。亜美は……ダメ」

「なんで」

「……なんでって……なんでもだよっ」

はあ?!

お前ら、友達じゃねーのかよ。

それに、俺だって明日斗を裏切れない。

「俺、明日斗の親友だぞ?明日斗の味方だし」

バコッと再び音がした。

「バカッ!龍なんか死ね!」

「って!」

再び筒状の教科書が俺の頭に直撃した。

なんでこんなコトで俺が死ななきゃなんねーの。

思わず俺はため息をついた。

怒りに任せてドスドスと教室を出ていった美夜の揺れる髪を見つめながら。