「え?」

呆気に取られている俺に、美夜は敢然と口を開いた。

「今日ね、明日斗と駅前でストリートライブ見る約束だったのに断られたの」

「……」

「『急用が出来た』って!絶対怪しい!」

「……」

「だから、龍!明日斗の浮気を突き止めるから付き合って!」

俺は美夜の顔を見下ろして、考えた。

バカだなー、コイツ。

確かに明日斗は男からしてもカッコイイけど、俗に言う《女たらし》だ。

俺達は親友同士だからいい。

明日斗は女にはだらしないけど、友情には厚い。

だから俺は明日斗が好きだ。

けど、どうだろう。

俺がもし女なら……。

カッコいいイマカレで毎日ハッピー?

……いや……やっぱ俺が女なら明日斗だけは選ばない。

そう思いながらシゲシゲと眺めた美夜の顔は必死だ。

今は俺を見上げて眉を寄せてるけど……正直、コイツは可愛いと思う。

綺麗な輪郭に、大きな二重の眼。

体型にも気を使っているらしく、コイツは甘い物を一切食べない。

なんで知ってるかって?

それは以前、

『明日斗がね、デブは嫌だっていうの。だから龍、このお菓子全部あげる!』