『明日斗は私を選んだの。私、めちゃくちゃ頑張ったんだから!』


「ううっ……!」

涙と一緒に泣き声が漏れた。

耐えられない痛みと後悔が私の胸を押し潰す。

その時、

「いつまでサボってんだよ」

「っ!」

急に他人の声がしたものだから、私は慌てて顔を上げた。

……龍だ。永瀬龍。

慌てて涙を拭いたけど完全に手遅れなのは分かってる。

「失恋して屋上で泣くとか少女漫画かよ」

「なっ、」

信じられない!

「最低!勝手に決めないでよ」

グッと睨むと、龍はポケットに両手を突っ込んで鼻で笑った。

「お前が失恋以外に泣くとかないだろ」

……ぐ。

……確かに。

なにも言えずに視線を落とした私に、龍が淡々と続けた。

「もう諦めれば?明日斗はいいヤツだけどひとりの女に縛られるタイプじゃない」