それからゆっくりと振り向く。

その顔に今度は私がビクリとした。

……だって明日斗が、今までに見たこともないほどウンザリした眼差しで私を見据えたから。

「……なんだよ……」

「それはこっちの台詞だよっ!」

だけど私は引き下がれない。

だって私達、カレカノだよね?!

なのに、なのに……こんなの浮気じゃん!

他の女の子とこんな風に抱き合うなんて、ダメでしょう?!

その時、明日斗に抱き付いていた女の子が私を見つめて言った。

「これは浮気じゃないからね?明日斗は私を選んだの。私、めちゃくちゃ頑張ったんだから!」

は?何言ってんの?

「そんなわけないじゃん!あのね、明日斗は私の彼なんだよ?!」

横断歩道の上で声を張り上げた私を通行人がジロジロと見た。

でもそんなのどうでもいい。

「やめてよ明日斗!浮気とかっ」

その時、我慢ならないと言ったように明日斗が私を睨んだ。

「お前、いい加減にしろよ。何でわかんねぇの。俺、お前のそーゆートコがウザいんだよ」

「なっ……!」

あまりにもハッキリとウザいって言われて、私は言葉に詰まった。

「明日斗、もう行こう!赤になっちゃう」

「……ああ」

やだ、行かないでよっ!