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……そっか……私って、ウザかったんだ……。

今の悩みは明日斗との事だけだと思っていたのに……。

フェンスにもたれて風に吹かれていると、亜美や理沙の言葉が頭の中に蘇った。

『美夜だってさ、私達の事なんて大事じゃないんだよ。だって何も聞いてこないじゃん』

『あー……そーいやそーだねー。なんも聞かれないわ。私たちに興味ない感じ?』

……違う。違うよ。

確かに私はあまり皆の事を聞かなかった。

でもそれは、興味が無かったんじゃない。

初めて同じクラスになって間がないし、短期間に色々質問したら嫌がられるかなって思ったら聞けなかったんだ。

それに、自分の事ばっかり話したかった訳じゃないけど質問されたら答えないわけにはいかなかったし。

それなのに……。私は人の事を聞かなくて自分の事ばかり話す自己中女子だって思われてたんだ。

胸が押し潰されたみたいな感覚が気持ち悪い。

ジワジワと見つめていた景色が歪んで、頬が一筋冷たく感じた。

泣きたくないって思ってるのに涙が止まらない。

悔しい。ムカつく。それから……凄く悲しい。


その時、真下に広がる中庭にスラッとした後ろ姿が見えた。

あれは……明日斗だ。

スクバを肩にかけて、片手をポケットに突っ込んで明日斗は正門に向かっている。

……早退?何も聞いてない。

ポケットのスマホを探り当ててタップしたけど、明日斗から連絡は入ってなかった。

なんだか、胸騒ぎがする。