心臓がバクバクしてきた。ヤバイ、なんか寒い。

「明日斗がスゴくウザそうだったからさ、笑っちゃった!美夜には悪いけど」

そこで皆がクスクス笑った。

「可哀想じゃん」

「明日斗と付き合えてるんだからいいじゃん!だいたい私、美夜と親友じゃないし。美夜だってさ、私達の事なんて大事じゃないんだよ。だって何も聞いてこないじゃん」

「あー……そーいやそーだねー。なんも聞かれないわ。私たちに興味ない感じ?」

「でしょ?!自分の事ばっか」

その時予鈴が鳴り始めて、理沙達がメイク道具をしまう音がカチャカチャと響いた。

「いこ!美夜がどんな顔してるか、見よ」

「イケずだなー」

「あははははは!」

段々声が小さくなっていって誰の足音もしなくなったから、私はそっと個室から出た。

……亜美だけじゃなかったんだ。

私を良く思っていなかったのは。

亜美、由依、それに理沙も。

信じられない。

表では仲良くしながら、陰であんな風に悪口言うなんて!

最低。許せない!!

……こんな気分で授業なんて受けられるわけない。

顔をあげると鏡の中の私と目が合う。

無意識に寄ってしまう眉、悔しげな口元。

今の顔なんか、見せられない。

誰にも見られたくない。

私は元来た道を引き返して屋上へと戻った。