゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚

抜けるような空の下。

正面玄関の階段を降りた時だった。

「ねえ明日斗、なんで今日ダメになったのー?楽しみにしてたのにぃ」

追いかけてきた足音、フワリと香る甘い匂い。

牧瀬美夜(まきせみや)だ。

「しゃーねーだろ。用が出来たんだ」

こう答えたのは、俺の親友。

名前は田村明日斗(たむらあすと)。

で、このふたりは付き合ってる。らしい。

あ。

もう一個付け足すと、ふたりとも俺と同じ高校の同級生。

「ねえ、龍(りゅう)。明日斗にちょっとは注意してよ。私のコトほったらかしすぎだって」

今度は俺を見上げると、美夜は頬を膨らませた。

「……」

「美夜、龍に絡むなよ」

「だって……」

「俺、しつこい女、嫌いだから」

「っ……!」

少し鋭くなった明日斗の眼。

それから、それを見てビクッとする美夜。

「いこ、龍」

「……」

めんどくせぇ。小さくそう呟いた明日斗の横顔はマジでウザそう。