葉月の運転するバイクは、深夜の街を駆け抜ける。私はその後ろで振り落とされないように、彼にぎゅっと掴まっていた。

さっきから心臓の音が、バイクの音よりもうるさく聞こえて。しがみ付いている葉月の背に耳を当てると、彼の心臓もいつもより大きく聞こえる気がした。


私と葉月は、一度小鳥遊の家へ帰った。

こんな時間だから、もしかしたらもうおじさんが帰っているかもしれないと思ったからだ。

でも、おじさんはいなかった。

まだ起きて私たちを待ってくれていた家政婦のちよさんに聞くと、最近は忙しいのか、おじさんの帰宅は明け方近くが多いそうだ。

だから今度は、おじさんの会社へ向かう事にした。

家に帰ったついでに、二人とも着替えた。私は蓮さまのぶかぶかシャツだったし、葉月は特攻服姿。そんな姿だとおじさんがびっくりしてしまいそうだったから。


おじさんの会社のビルは、オフィス街にある。近くのパーキングにバイクを停めて、入り口でビルを見上げた。他にもたくさんビルはあるけど、小鳥遊グループのこのビルが一番高くて立派だった。