「……でも、葉月も鈴ちゃんが好きみたいだったから、ずっと言えなかったんだ。鈴ちゃんも、葉月が好きなの分かってたし。二人がいい感じになってきて、良かったって思ってた……本当に…………」
私も蓮さまは好き。でもそれは彼が言うように、お兄さんみたいだと思っていたから。
優しい、お兄さんだと……
「でも、兄妹だっていうなら俺は…………」
蓮さまは摘んだ葉っぱを握りしめる。その手が震えているように見えたのは、見間違いだったのか。
「俺なら、鈴ちゃんをもう悲しませたりしない。大切にする……だから…………俺の彼女になってよ」
もし蓮さまを好きになれたら、どんなに楽になれるだろう。
でも私は……
葉月の顔が浮かんだ。
蓮さまみたくいつも優しくないし、時々何を考えているのかも分からない。照れ屋で口下手で頑固で。
でもたとえ兄妹だとしても、私は…………
「…………私……」
私はまだ、葉月が好きなんだ。