「――――ねえ、今日はファントムへ行くの?」
放課後が近づくと、私は志貴にそう聞いた。
「行くけど……珍しいね、鈴がそんな事聞いてくるなんてさ」
志貴はおやつを食べている所だった。蓮さまと同じ甘党の彼は、いつも見るとお菓子を何か食べている。今はアーモンドチョコを猛然と口に運んでいる。
「うん……ちょっとね。じゃあ志貴、一緒に連れてってくれない?」
「えー? 鈴、行かないと思ったから僕、光流さんに乗せてもらおうと思ってたんだけど。今日はチャリも乗って来てないし」
志貴はそう言いながら、アーモンドチョコを二つ口に入れてもぐもぐ。
「あ! 鈴は葉月さんに乗せてってもらえば?」
「でも葉月は……」
凪さんに、葉月はファントムへ出入りを禁止されている。
「あーそっか、出禁、まだそのままだったね」
どうしよっかな~って言いながら、またチョコをパクリ。