「…………蓮さまは、もう不知火には戻らないんですか……?」
私の問いに、彼は小さなため息を吐いた。
もう、ダメなんだろうか。
「…………ごめん」
蓮さまは私に背を向けたまま、そう言った。
「蓮さまがいないと、不知火はダメになってしまいます! 葉月だって……!」
でも蓮さまは振り向かなかった。
「お願いします! 不知火のみんなも、葉月も、蓮さまの事待ってます! だから、お願いします!」
「――――鈴ちゃん、そろそろ家に送るよ。もう君は帰った方がいい」
やっと振り返って笑顔を向けた蓮さまは、何だか悲しそうな顔をしていると思った。
私はそれ以上は何も言えず、ただ蓮さまを見つめる事しか出来なかった。
◇◇◇