「――――それが、分からないんです」


光流さんが怪我をした人たちから聞いた話だと、三人とも一人でいる時に複数でやられたそうだ。それに相手はみんな、顔を隠すようにフードを被りマスクをしていたという。


「そんなんだったから顔なんて見えなかったみたいだけど……何か、卑怯だよね」


志貴はぷくっと頬を膨らませて怒っていた。


「今までの、成り上がりたい族たちは必ず名乗りを上げていました。でも、今回は違う。何か他の意図があるような気がします」


光流さんのその言葉に、葉月たちは頷いた。そして葉月は配下の人たちの方へクルリと向き直る。


「――――敵が分からない以上、こっちは出方を見るしかない。お前たちは、絶対に一人で行動するな! 何か分かったら、すぐに知らせろ! 今ここに居ない奴らにもそれは徹底しとけ!」


お店の窓がビリビリするぐらい、みんなが返事を返す。