あまりさんののっぴきならない事情

 



 あまりとの電話を切った海里は、ふう、と息をつく。

 スマホをデスクに置き、窓の外を見た。

 やった。
 よくやったぞ、俺、と自分で自分を褒めてやる。

 さりげなく誘えたはずだ。

 ……たぶん。

 やはり、仕事のときのように多少強引に出た方がいいのかも、と思う。

 今は隣りの部屋で仕事をしている寺崎の、
『お疲れ様です。
 よくやりましたね、支社長』
という幻聴が聞こえた。

 満足して仕事に戻る。