「失礼しました、お暇します。謹んで帰宅いたします、今すぐに!」


ピッと音がしそうなほど垂直に立ち上がったルークさまは、ばたばた扉に駆け寄った。


「七日後の朝に受け取りにいらしてくださいませ。必ず仕上げてみせます」

「ありがとうございます。お願いいたします」


信頼の置けるもの、もしくはその持ち主を深く思っているものが刺繍したハンカチを持つと、一度だけ身代わりになってくれる。


ハンカチの刺繍は、古くからある伝統的なお守りである。祈りを縫うのは、大きければ大きいほどよいとされている。


……信頼を置けると、あのひとが思ってくれたのだ。それに恥じないものを渡さなくては。


よし、と深呼吸をした。