翌日、マコちゃんは学校をサボっていた。じゃあイチくんはと教室を見に行ったけれどもいない。
休み時間は旧校舎中を探し回ったけれど、ふたりを見つけることはできなかった。

お昼休みは、担任の阿部先生に捕まって、昨日のサボりのお説教をされた。
職員室の前の廊下で、声を潜めてこんこんと諭される。


「悪い奴らに影響されてどうする。順当にいけば、進学だって君なら推薦枠でいける。就職したいにしても内申が大事なんだぞ。わざわざもめ事を起こさないように」

「……悪い奴らって誰ですか」

「決まってるだろう。酒田や仲道みたいなやつらのことだよ」

「見た目が変だからですか?」

「授業もサボる」

「それは……」


確かにそうだ。学校という枠で見れば、彼らは“悪い奴ら”なんだろう。
それはそれで認めるべきなのかもしれない。


「じゃあ私が、授業に出るように言います。だったら悪い奴らじゃないですよね?」

「それは先生がやる。お前は奴らにかかわるな」

「だって……」


泣きそう。でも昨日、あきれるくらい泣いたのだから、もう泣かない。
泣き落としなんかじゃなくて、私のやり方で先生たちを納得させてみせる。


「先生が最初から“悪い奴ら”って決めてるからじゃないですか。一緒にいたら、みんな悪くなるって言って、追い出して。でも私は、彼らに救ってもらったんです。だから」


泣いて泣いて後悔して。
今朝起きて思ったことは“やっぱり無くしたくない”ってこと。
このまま終わりになんて、絶対にしたくない。


「私は先生に、彼らがちゃんと考えを持った人間だって認めさせてみせます。明日はちゃんと連れてきますから」