ごめんごめんごめん。
頭の中は謝罪でいっぱい。やっぱり私は嘘つきにしかなれない。
イチくんのことが、すごく好き。
マコちゃんのことも、とても大切だった。
だけど、これで終わり。
傷つけておいて、平気な顔してここにはいられないよ。
ふたりとも大好きなのに、でもだからこそ、さよなら。
「私、行くね」
根性で笑顔を作って、渡り廊下を走った。
同時に終業のベルが鳴って、教室から人が湧き出てくる。
普通の顔をして、この中には戻れない。
だけどもう、彼らの中にも私の居場所はなくて。
「…………っ」
「あれー、瑞菜どこ行って……」
背中にかけられた友達の声にびくついて、逃げるようにただただ走った。
校門を出て、息が切れるまで走って、家までたどり着く。
自転車おいてきたとか、鞄も持ってこなかったとかそういうことも思ったけれど何もかも面倒で。
「あれ、ずいぶん早いですね、お帰りなさい」
まだ帰っていなかったお手伝いさんに、「ちょっと」とだけ言って部屋に閉じこもった。
しばらくして、部屋の扉が叩かれる。
「瑞菜さん、具合悪いんですか? 病院行きます?」
「いいです。ちょっと休めば治ります。お仕事お疲れ様でした!」
枕を頭からかぶって、音が漏れないようにして泣いた。
今日のことが頭の中で何回もリプレイされる。
ふたりを蔑んだような目で見る先生や会長が嫌い。
あんなふうに言われるのが悔しくてたまらない。
でももっと悔しかったのは、どんな時も嘘をつかない人に、私は嘘しか返せないことだ。
『俺も瑞菜が好きだよ』
私もだよ、イチくん。
そう言えればいいだけなのに。マコちゃんを傷つけるのが怖くて、言えない。



