週明けのお昼、今日は二階の空き教室へと集まる私たち。


「今日の鍋なに? イチくん」

「あ、なんか呼び方変わってる。ずるくねー、ハジメだけ」


突然酒田くんに拗ねられてびっくりする。


「お前ら、土曜、あの後なんかあった?」

「送ってもらっただけだよ」

「でもずりぃ。なーんか、俺だけ置いてきぼり」


唇を尖らせて拗ねた顔とか、ほんと弟みたいでかわいいなぁ。


「じゃあ酒田くんのことも名前で呼んでいい?」


くすくす笑いつつ提案すると、酒田くんはぱあっと顔を晴れ渡らせた。


「お、いいぞ! 俺も瑞菜って呼んでいいか?」

「うん。じゃあ酒田くんは誠くんだから、……マコちゃんで!」

「……ぶはっ」


黙って聞いていたイチくんが噴き出した。


「ウケる。いいじゃん。マコって似合ってんじゃん。俺もそう呼ぼうかな」

「なんだよー。ふたりして子ども扱いすんなよな」

「じゃあ誠くんって呼んだほうがいい?」


聞いてみたら、拗ねたような顔で見られた。


「……マコでいい」

「じゃあ決まり。マコちゃん、食べよ」

「……やっぱり子供扱いじゃん」

「え?」

「なんでもねぇよ!」


最後のほうは私には聞こえないような小声だったけれど。
拗ねたような顔が可愛いから放っておいた。