桜の愛図





18という年齢でこの見た目と口調に違和感がまったくないなんて、ある意味すごい人だと思う。

私が地味なこともあるけど、それにしたってお姉ちゃんと血が繋がっているなんて信じられない。

まぁ、私たちが同じ両親から産まれたことは紛うことなき事実なんだけど。



なんとかお姉ちゃんを引きはがせば、彼女は小首を傾げ、私の部屋着のパーカーをきゅっとつまんだ。

お姉ちゃんは甘え上手で、いつもたくさんの人に囲まれている。

成績は褒められたものじゃないけど周りに支えられなんとかしているみたい。

「適当でいいよね〜」なんて楽観的な生き方は、名前のとおり頭に〝花〟が咲いているようだ。



「お姉ちゃん、シュークリームって、なに。
彼氏に買わせたの?」

「買わせたんじゃないよ、家族で食べなよって言ってくれたの。優しーよね」



ふにゃりと笑う彼女は、身内ながらまぁ彼氏相手にひどい仕打ちだとしか思えない。

しかもこの彼氏、最近また新しくなったと聞いた。



恋多き人種と言うか、貞操観念が緩いと言うか。

お姉ちゃんは不真面目にもほどがある。



「まぁ、なんでもいいけど、私は今勉強中だから邪魔しないで」

「え〜、春ってば冷たい! 真面目すぎだよ〜!」

「うるさい。はやく部屋から出て行って」