黒板の上に設置されている時計を見る。
ああ、はやく先生がくればいいのに。
さっさと委員会をはじめて、終わらせてしまおうじゃない。
私は櫻の隣にいる時間を少しでも短縮したい。
そう考えていた私の思考を断ち切るように、今度は櫻と話していた女子に呼びかける誰かの声。
流れるように「なにー?」と立ち去ってくれたことはいいけど、そのせいで彼の顔がこちらに向けられてしまい、素直に喜ぶことができない。
「咲坂 春(さきさか はる)ちゃん、だよね?
一緒に委員会の教室まで行こうと思っていたのに、気がついたらいなくてびっくりしたよ〜」
「……」
「次からは一緒に行こーね」
整った顔が、ふんわりと幼く緩められる。
これが子どもだったらああ可愛いなと受けとめられるが、同級生相手にそれはない。
だってそもそも櫻が確認した時に私がいなかったのは、声をかけられる前にと先に教室を出たから。
それなのに次からは一緒に行く?
そんなはずないじゃない。
クラスごとに座席は決められているから、彼が隣にいることは当然なんだけど、その当然さえも、嫌で仕方がない。