へらへらと笑いながら、まるで答えあわせをしているみたい。
本当なら私になんて……ううん、誰にも。言うつもりなんてなかったんだろう。
見た目はチャラチャラしていて、ノリが軽くて、いつだって適当で。
人との距離が近すぎるし、異性が彼を囲むことは見慣れた光景。
まるでうちのお姉ちゃんみたいな、そんな櫻。
だけどきっと、そんな様子だけで彼を判断することは間違いだった。
もっと深い、人には見せない部分がある。
「未来はね、努力家で、昔から夢のために一生懸命なんだ。いつだってまっすぐ」
わずかに微笑んで、その視線の先には未来さんの姿でも浮かんでいるんだろうか。
嬉しそうに、楽しそうに、櫻は彼女について語る。
「テンション高すぎるし、人の話を聞かないし、だめなところもいっぱいあるけどね、俺は昔から未来のそばにいると楽しくて仕方がなかったんだ」
そう、笑っていたはずの櫻が足をとめる。
空を見上げて、目を細めて、柔く唇を噛んだ。
「でも、しばらくは一緒にいられないなぁ」
「……どうして」
思わず問いかけた私の瞳に桜の姿が映る。
彼の瞳にも、同じように映る自分の姿が見えた。
「高校時代からの恋人と結婚するんだ。
未来のおなかには、子どもがいるんだって」
軽薄に見える櫻は真面目な恋をしている。
叶わない、恋をしている。

