ドキンッと心臓が何度も脈打つ。


長い睫毛が微かに揺れて、真剣さを含んだ瞳から目を逸らすことが出来ない。


私ばかり見てるって、なに言ってるの……?


ほら……いつもみたいに「なーんてな?」って、言わないの?


私のことが大嫌いなんじゃないの……?



「そんなこと言われても困るよ……私のこと、嫌いだから意地悪してき……」


「嫌いなんて言った覚えないんだけど?」



遮るように口を挟むと、首を傾けて「ん?」と不服そうに私を覗き込む。



「……っ、とにかく!私は困るの……いきなり、大魔王だったアンタが、優しかったり……今みたいなこと言われても、困るよ……」