ベンチにお尻をついたとほぼ同時、桐生秋十の肩に私の肩が触れた。
「お前にこれ持たせるってことは、お前の母親は俺とのこと知らないんだろ?」
ギクリッ……。
色んな意味で心臓がドキンッと跳ねた。
「な、なっ……なんのこと?」
「とぼけんなよ。どうせ、俺のことは良く話してるんだろ?」
当然のごとくバレてる………。
「……だって、言えるわけないでしょ?」
自分の娘が実はヒーローだと思っていた男の子に意地悪されてますって。
「本当のこと話せば?」
「ハァ!?信じらんない………」
「言えないの?だったら俺から話してやろうか?」
「ふっ、ふざけないで。どうしてそんなことが言えるの?ほんっと、最低っ!」



