「なんだよ?その顔は」
黒の七分丈にデニムを履いたその姿は、ただの普段着だとしても悔しいけれどやっぱり様になってる。
「こ……これ、ブレザー。それから、お母さんが、このお菓子渡せって……」
ひどい渡し方だなぁって我ながら思う。
本当に可愛くないヤツだって。
「へぇ。それで来てくれたわけ?」
ブレザーとお菓子を受け取った桐生秋十は、何やら得意気に笑みを浮かべて隣に座ってくる。
「っ、じゃあ、私は帰るから………」
隣に座らないで………。
本当は可愛らしいアーモンドアイで見つめてくるルルちゃんを、久々に触りたかったけど、隣になんか座られたら落ち着くはずもない。
「待てよ」
「………うわぁっ!!」
ーーーパシッ
立ち上がった瞬間、手を引っ張られて、すぐにベンチへと引き戻される。



