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「……散歩に行ってるとかタイミング悪いよ、」



どうしよう、このブレザー。

私は家との中間地点にある公園のベンチに腰を降ろして、独り言と供に溜め息をついた。



梅雨に入ったせいか空はどんよりとしている。

んー、これは夜に出直すとか……?

いや、だったら朝イチで返しちゃうとか?



「ワンッ!」


「えっ、ルルちゃん…………!?」 



もふもふのシルバーの毛が可愛く揺れる。


ちょっと待って……ルルちゃんがここにいるってことは……。


恐る恐る繋がれたリードを辿れば……、



「別に、返すのなんか明日でもよかったんだけど。さっき家に来ただろ?」



ああ、なんてバッドタイミング。


どうして今になって現れるかな、この大魔王は……。