そして次の日の放課後、大嫌いだと思い続けている私の気持ちを惑わせる出来事が起きた。
「だから、桐生くんは優しいと思うけど?」
「え……っ、ひーちゃん?それは、何かの間違えじゃない?」
「ハァ?だから、優しいって。ちょっとツンツンしてるように感じる時もあるけどさ」
そんな優しさがあるなんて言われても私には到底響かないんだけど……。
「ニーナが転校してくる前……ちょっとした問題を抱えた子を助けたり。ニーナは桐生くんがこの世で一番嫌いだから、信じられないんだろうけどさ」
信じられないっていうか信じたくない……。
第一私は、そんな優しいって言われてる桐生秋十なんか知らないよ……。
「つぅかさ、優しいヤツならニーナのこといじめたりしないんじゃねぇの?」
「チャラ男は黙ってなさいよね!」
「……てめぇな。日和こそ黙ってろよ。ほんっとお前は口悪いよな?」
舌打ちをした颯太はツンと唇を尖らせた。
「日和」
……と、そこへ。



