心の中で文句を呟けば、クスッと笑った桐生秋十と視線がぶつかって、慌てて目を逸らす。
なんで、何も言えないのよ、私……!
「ねっ?今の見たぁ?」
「うん!桐生くんって、さりげなく優しいところあるよね?いいよねぇ、ああいう男子」
周りの女子が色めき立った声をあげる。
………アイツが、優しい?
優しいっていうのは意地悪なんてしない人のこと。
そう思ったけれど、なぜか私は、自分の心の中でもそれをハッキリと否定出来ず。
かばったなんて、そんなことあるわけないんだって無理矢理言い聞かせていた……。
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