「わりぃ桐生!当たっちまった!大丈夫か!?」 ま、ま、まさか………。 駆けつけた男子の一言でボールの打撃を受けたのは桐生秋十だと知った私は、ただただ驚きでしかなかった。 「俺は平気。よかった。仁菜に当たらなくて」 「っ、」 ーーードキッ。 思いもよらない言葉に不覚にも胸が高鳴る。 “よかった”……って。 桐生秋十がそんなことを言うなんて……。 「当たったりでもしたら、もっとバカになるし?」 「はっ!?」 あぁ……ほらね、やっぱりそういうこと言うのが大魔王なんだから。