「関わらないって決めてたよ……ずっと、」



弾かれたおでこをさすりながら、私は忘れもしない過去の記憶を思い返していた。



ーーーー小学四年生の夏休み前。


桐生秋十との出会いは転校した日ではなく、実はその前日だった。

もともと住んでいた林町と、この若葉町はさほど離れてはいない。


新しい学校までの道に慣れるために一人で散歩に出た時、堤防の坂を一気に駆け上がったら、キラキラ光る水面を見つけた。


河川敷まで走って行けば、グラウンドが見えて、階段を降りていく。


あ……。

この河川敷……前に来たことある。


確か、夏祭りがやってて、行きたいってせがむ私をお父さんが連れてってくれたんだ。


もう二度とお父さんと夏祭りに来ることは出来ないけれど、今でも大切な思い出。