ついつい妄想にうっとりしていたら、突然ズシッと頭の上に乗せられた手の重みに驚いて顔を上げる。
「颯太(はやた)……!?ちょ、手重っ……、」
「顔緩みすぎじゃね?二人っきりで何すんだよ?オレにも教えろ」
私の髪をくしゃくしゃにしてケラケラ笑うのは、入学して同じクラスになった結城(ゆうき)颯太だ。
「颯太……っ、盗み聞きしないでよ……!変態!」
「変態はニーナだろ?変態面してんじゃん?」
そう言って八重歯を見せて無邪気に笑った颯太。
私が唯一、男友達と呼べるのは、たとえ変態面だと言われてもきっと颯太だけかもしれない。
屈託のない笑顔。
それを見せられたら、それ以上怒る気もなくなってしまうんだ。



