ドキリ、と。

まだ唇が触れそうな距離に秋十がいる。

心臓がおかしくなっちゃうくらい加速する。



「仁菜のことが好きすぎて」


「……っ、」



真っ直ぐに。

秋十の気持ちが伝わってきて、私の心をさらに奪っていく。



「お前、ズルいよ。俺にだけ言わせるつもり?」


「な……っ!だって、私が言おうとしたけど、秋十が……」


「じゃあ、もう一回聞かせて?」


「聞こえてたクセに……も、もう言わないったら!」


「やだ。聞かせてよ?」



期待を含んだ瞳で私を見つめる秋十から、顔を背けて逃げようとする。



「な、なんで………?」



もう一回なんて、恥ずかしすぎるよ。

秋十は、ズルい。

そうやって、私の心を秋十でいっぱいにするから。




「だから、俺はーーー」



秋十は私の耳元にそっと唇を寄せると囁いた。





「お前の声が聞きたくて、仕方ないんだよ」



ちょっぴり甘くて優しい声に胸がキュンと高鳴った。


こうやって私はまた一つ、きみを好きになる。


私は、この先もずっと、きみだけに恋してる。





 *Fin*