まさか裏では女の子達に手を出しまくっていたなんて、そんな一面までは知らなかったけど……。
「ずいぶん必死だけどなんの理由があんの?てか、ムキになんなよ?」
理由って、そもそもはアンタが原因なのに。
「ほっといてよ……」
そう言い放っても目を逸らす気配が微塵もない。
チョコレート色の長い前髪がふわりと揺れる。
「ほっとかねぇよ……」
「えっ?」
桐生秋十の独り言のような声にハッとした。
「お前さ、そんなに彼氏が欲しいなら……」
……と。
言いかけて、立ち尽くす私の目を真剣に見据えた。
な、な、何…………?
そして身構えた瞬間、私の腰に腕を回すと、あっという間に自分の身体へと抱き寄せた。
「俺がなってやろうか?お前の彼氏」
「……っ、」
挑戦的に、私の唇に顔を寄せて低く囁いた。



