「ねぇ、蜷深。アキ知らない?」
ひーちゃんと颯太のバトルを見てる私に、コソッと耳打ちしてくる晴くん。
「……み、見てない。今日も、話してないから」
「そっか。アキ、最近姿消すの早すぎだよね」
「うん、」
「忍者めざしてるのかな?」
「……、」
本人は本気で言ってるんだろうけど、そんな晴くんの冗談にも笑えない私は重症だと思う。
秋十は、隣の席の私と口をきくことはなくて。
ただの一度も、声を聞けなかった。
あの日を境に目も合わなかった。
ううん……。
秋十が目を合わせようとしなかった。
私に声をかけようともしない。
まるで今まで私がしてきたかのように。
それが、こんなに辛いんだってことを、私は初めて気づいた。



