「お父さんが飾っていた写真はね、子供の日の時に撮った写真で。可愛い可愛いって、もう、お父さんったらすごい気に入っててね……、」


「っ、」


「だからね、仁菜。あなたには、もっとお父さんの話をして笑っててほしいんだどなぁ」


「……うん、私。もっと、お父さんのこと話したい……本当は、もっと」



どんな思い出にもお父さんの笑顔が残っているよ。

お母さんの少し荒れた手が、私の手に重なる。

お父さん、ごめんね……。

苦しくて、辛い思い出にしてごめんなさい。



「仁菜が思い出してくれることが、お父さんは一番嬉しいんだよ」



私とお母さんと。


そして、豪快に笑うお父さん三人で、私達は笑いあった。