時々、秋十のことを聞いてきては、お母さんが嬉しそうにしてるのを私は知ってるんだ。



「お母さん思うんだけど、秋十くんと夏祭りに行ったら、お父さんも喜ぶと思うわよ?」


「……お父さんが?なんで?」



どうして、秋十と一緒に……?

なんで、お母さんがそんなことを言うの?



「ねぇ、仁菜はやっぱり秋十くんが嫌い?」


「っ、」



投げ掛けられた言葉に私の頭は真っ白になる。


お母さんの前で嫌いだなんて話したことは一度もなかった。



「秋十くんの話をする、仁菜の顔が、ちっとも嬉しそうじゃなくてね……」



私はいつもいつも無理に嘘のヒーローを作り上げて、いくら意地悪されても、でたらめに話してきた。